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不育症治療 一般婦人科治療

不妊症治療の大きな流れ


約2ヶ月間かけて赤ちゃんができにくかった理由を検査していきます。
月経が来ない常態が続いているなど、明らかな因子が存在する場合も念のため一通りの検査をします。複数の不妊原因が存在することが多いのです。



治療方針を考える上で必要なことをいくつかお聞きします。
基礎体温・経膣超音波断層法・女性ホルモン検査
卵胞発育は正常か?
卵子は卵胞から排出されているか?
正常な黄体が形成されているか?
排卵障害があればその原因は?
子宮卵管造影・超音波断層法
子宮内膜の厚さや性状
子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症・子宮内膜ポリープ・子宮奇形の有無

※子宮卵管造影
子宮内腔にチューブを挿入し造影剤を注入し、レントゲンで観察します。子宮内腔に異常はないか?卵管が通っているか?卵管の周囲に癒着は無いか?を検査します。痛い痛いとうわさの検査ですが、造影剤も刺激の少ないものになり昔のような激しい痛みはありません。
排卵の直前後の時期に性交渉の翌日に来院していただき子宮に駆け上がっている精子の数を検査します。
その他 甲状腺機能検査・自己抗体の検査・クラミジア感染・抗精子抗体



 
治療方針を考える上で必要なことをいくつかお聞きします。

マスターベーションにより精液を専用カップに取っていただきます。
自宅で取っていただいても、院内の採精室(防音設備あり)で採っていただいてもかまいません。

必要あらば、睾丸の大きさ(触診)・ホルモン検査(採血)・抗精子抗体・
染色体検査などの検査を追加します。

 
 
検査の結果が出揃ったところで約1時間程度かけてお話をし、いくつかの治療法を提案させていただきます。ご夫婦の選択を、後日外来で伺います。

 
 
ご夫婦の選択した治療法を開始いたします。治療法の変更が必要となった際は、またカウンセリングをいたします。


不妊原因からみた不妊治療の実際

1. 排卵障害
卵管因子
3. 子宮因子
4. 子宮内膜症
5. 男性因子


 
排卵障害
全身状態の改善
 
肥満・やせがある場合 食事指導(場合により漢方薬を併用します)
糖尿病を合併する場合 妊娠前の血糖調整(専門の先生を紹介いたします)
甲状腺機能異常・
副腎機能異常
内科的治療を優先あるいは並行。
ひえ・便秘・全身倦怠感 場合により漢方薬を併用
※闇雲な排卵誘発は危険な場合があります。回り道のように思われる方も多いでしょうが、“まずは体の調子を整えてから”が原則です。じつはこの過程で自然に排卵し妊娠にいたる方も少なくありません。
排卵誘発
 
排卵障害の原因には、視床下部性脳下垂体性卵巣性多嚢胞性卵巣症候群などがあります。原因により治療法は異なります。
排卵障害詳細図
内服薬(クロミッド・セキソビットなど)による排卵誘発
 
内服薬排卵誘発詳細図
  月経の3〜5日目から5日間内服していただきます。卵胞の発育を観察するため1〜2回来院していただく必要があります。卵胞が発育したら、卵子を排出させるための注射(hCG)をします。その後、黄体機能を改善させるために1〜2回注射(hCG)します。場合により黄体ホルモン剤を内服していただきます。卵子が排出されているか否かの確認と子宮内膜の性状を確認するため高温層に一度来院していただきます。
  利点 簡便・安価
注射薬に比べ副作用が少ない。
      副作用: 多胎妊娠率は5%程度
頭痛 まれに複視
卵巣過剰刺激症候群
(注射薬による方法の項を参照してください)
  欠点 子宮内膜を劣化させ着床しにくくする。
子宮頚管粘液を劣化させ精子が子宮頚管を通過しにくくなる。
卵胞が育っても卵子が排出されない(非破裂黄体化)を起こしやすい。
※内服薬による排卵誘発は、妊娠成立には不利な欠点もあります。
頸管粘液や子宮内膜所見が劣化する場合、6周期施行しても妊娠に至らない場合は注射による排卵誘発が妥当です。頸管粘液や子宮内膜所見が劣化する場合には卵胞ホルモン剤の投与が有効する考えもありますが、効果を疑問視する意見もあります。

注射薬(hMG製剤)による方法
 
注射排卵誘発詳細図
  卵胞刺激ホルモン・黄体化ホルモンを性周期の第3〜7日目から成熟卵胞が発育するまで毎日注射します。その間に適宜経膣超音波断層法で卵胞の発育を観察させていただきます。卵胞が発育した後は、内服薬による排卵誘発の場合と同じです。自然の周期では1個か2個の卵胞が選択されて発育します。しかし、注射による排卵誘発では卵胞選択の機序がうまく働かず複数の卵胞が発育してしまいます。発育する卵胞数が多すぎると多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群などの危険性が高くなります。注射の開始日・注射薬の量や種類(卵胞刺激ホルモン・黄体化ホルモンの比率)を調整し、できるだけ発育する成熟卵胞数を3個程度までに制限いたします。どの様に工夫しても発育する卵胞数が制限できない場合もあります。その場合は、多数発育した卵胞から卵子を取り出し体外受精をし、全受精卵を凍結保存しホルモン補充周期に胚を移植することで卵巣過剰刺激症候群の発症を避けることが出来ます。

※診察は毎日必要と言うわけではありません。2〜3日に1度の割合で診察させていただきます。診察の無い場合は注射のみとなりますのでほとんど待ち時間がありません。遠方からお越しの方は、注射を近くの先生をお願いすることも出来ます。また、注射のみで来院の方でも何か症状があれば必ず申し出てください。

  利点 内服薬のような子宮内膜や頸管粘液の劣化作用が少なく、妊娠率が高い。
(卵胞数が多すぎると子宮内膜の劣化を招くと言う考えもあります。)
  欠点 多胎妊娠率が高い。
      卵巣過剰刺激症候群:
発育卵胞数が多すぎる時に発症します。卵巣腫大・腹水の貯留による腹痛・腹部膨満感からはじまり、重症化すれば胸水の貯留による咳や呼吸困難が出現します。血液から水が失われるため血液濃縮が進行します。血液濃縮の進行により、血管内で血液が凝固し多臓器不全などの危険な状態になる場合もあります。予防と早期の治療が必要となります。
予防としては発育卵胞数を制限することと多数の卵胞が発育する可能性が高い時は治療を中断することがあげられます。少ない卵胞数でも卵巣過剰刺激症候群が予期せず発症する場合もあり100%の予防が可能であるわけではありません。
      体調の不良:
  全身倦怠感・腹部膨満感・下腹部痛・イライラなど人によって症状の出方は様々です。
補助的に漢方薬を使用し症状の改善を図っています。
原則として注射薬による排卵誘発法により治療いたします。
(前項を参照してください)

脳下垂体性排卵障害の場合は、発育卵胞数が少ない場合でも卵巣過剰刺激症候を起こしやすい印象があります。
卵巣そのものの機能が劣化している場合であり、卵巣を支配する脳下垂体は機能亢進の状態にあります。女性ホルモン剤やGnRHa製剤(スプレキュア・ナサニールなど)により卵胞刺激ホルモン・黄体化ホルモンの過剰分泌を抑制し、卵巣が卵胞刺激ホルモン・黄体化ホルモンに対して正常に反応するようになることを期待します。しかし、排卵誘発の成功率は高くはありません。
第3者から卵子の提供を受けることが唯一の治療法である患者さんの方が多いように思いますが、国内ではまだ認可されておりません。
多嚢胞性卵巣症候群図
視床下部性排卵障害と同様、内服薬による排卵誘発をまず試み卵胞が発育しない場合や妊娠に至らない場合は、注射薬による排卵誘発にステップアップします。多嚢胞性卵巣症候群の患者さんは、注射薬による排卵誘発で卵巣過剰刺激症候群を起こしやすく注意が必要となります。
注射薬により卵胞発育が不十分な場合や発育卵胞数が制限できない場合には、腹腔鏡下手術が有効です。腹腔鏡下に卵巣表面に散在する小嚢胞をレーザーでつぶしてやります。術後に自然排卵する率も高く、術後に排卵誘発剤の使用が必要となる患者さんの場合でも卵巣過剰刺激症候群の発症率を低下させることが出来ます。
視床下部性排卵障害や多嚢胞性卵巣症候群には、よく漢方薬を併用します。漢方薬のみで有効な卵胞の発育が得られることもあります。漢方薬である程度卵胞を発育させ、注射薬を使って成熟卵胞に育てる方法も刺激卵胞数を制限する上で有効な場合があります。
その他、前述のように注射による排卵誘発を施行した場合には、全身倦怠感などの体調の不良を訴えられる方が多くいます。その際に漢方薬を併用し症状の軽減をはかることが出来ます。


 
卵管因子
腹膜炎の既往やクラミジア感染や子宮内膜症などにより卵管が通過していない、卵管周囲に癒着がある場合。治療法は卵管の疎通性を改善させる手術療法と体外受精-胚移植があります。手術療法はご主人の精液所見が比較的良好であることが前提となります。極端な例をあげれば、ご主人が重症の乏精子症であった場合、手術療法は無効です。
手術療法
卵管因子詳細図

子宮の近くで卵管が詰まっている場合

非観血的卵管再疎通術(当院で施行可能です)
  レントゲンで確認しながら、子宮から卵管にワイアーを挿入しワイアーにそって卵管内に細い管を入れ生理食塩水を通し卵管を通過させます。麻酔をかける必要はなく、入院の必要はありません。
卵管の先端(膨大部・卵管采)が詰まっている場合
  腹腔鏡手術(当院では施行できません)
  施行可能な医療機関を責任を持って紹介いたします。
体外受精−胚移植(リンク先の高度生殖医療ページを参照ください)


 
子宮因子
子宮筋腫
 
子宮筋腫詳細図
 

すべて手術して子宮筋腫を取り除かなければならないというわけではありません。経膣超音波断層法やMRIにより筋腫核の存在場所を確認し、粘膜下筋腫や筋層内筋腫(図)で子宮内腔の変形を伴う場合は手術適応となる場合があります。腹腔鏡下にあるいは開腹して子宮筋腫だけを取り除き、子宮は温存します。粘膜下筋腫の中には子宮鏡で観察しながら子宮腔内に挿入した小さな電気メスにより取り除くことが可能な場合もあります。その場合は、開腹の必要がありません。

子宮腺筋症
  時として、強い着床の阻害因子となります。体外受精を施行してもなかなか着床してくれません。病変が子宮全体に広がっている瀰漫型と子宮の一部に限局している限局型の2つがあります。限局型の子宮腺筋症に対しては手術により病変を取り除く場合がありますが、手術が有効と思われる場合は非常に少ないように思います。薬物療法(GnRHa療法やダナゾール療法)により一時的に子宮腺筋症を軽快させることが出来ます。その間に、妊娠を図る努力をします。排卵誘発・人工授精や体外受精を、妊娠率を高めるため併用する場合があります。
 

不妊症・不育症専門診療機関 みのうらレディースクリニック
三重県鈴鹿市磯山3丁目9番17号 TEL:0593−80−0018